“隣の部屋”を出現させる

2011.12.09

梁の側面をすべて鏡張りにしてみる。すると梁は透明になり、すっきりして圧迫感がなくなる。そればかりか、天井に板の張り目地が通っていたり、照明器具が等間隔であったりすると、それらが無限に映り、天井が万華鏡のようになり、広々と感じられるものだ。この場合、梁という高さゆえに、人が映ることがなく、天井を映し出しているので、壁の上部があたかも隣に部屋が続くかのような錯覚を与えるのである。言い換えれば、壁の上部が隣に抜けてゆくのである。

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だから、「おい、彼の家は2LDKどころか4LDK、いやそれ以上部屋があったぞ」などということにもなる。この空間の抜けの演出は、巧妙にやると演出者自身さえもだましてしまう。洗面所で鏡に映った虚像のせっけんを取ろうとして、突き指した人までいる。飾り棚など背の高い家具の、上部の天井までの間の壁を鏡とすると、まるで天井が家具の上に続いて行くように見え、ありえない“隣の部屋”が出現するのである。この方法は、天井が連続して見えるだけでなく、壁を映し出して連続させることもできる。たとえば部屋のコーナーにたんすがある場合、それをちょっと手前にずらして現れた壁を、床から天井までの幅の狭い鏡にすると、突き当たりの壁が連続し、たんすの裏側に回って行けそうな錯覚を覚える。特にその鏡に植木鉢や花瓶をぴったりくっつけておくと、まるでその植木鉢の向こう側に行けそうになるのである。この演出は、使い古しの鏡台などを利用しても簡単に効果があがる。