モックアップによる検証

2011.11.18

モックアップというのは実際と同じ材料で作った原寸模型のことであり、建築のできあがりを確認するための最終手段として、われわれの事務所では、やたらにモックアップを作る。建築が、実際に、どんな感じにできあがるのかをチェックする手段は色々ある。今日、最も一般的なやり方は、コンピューターでまず三次元の透視図を描く。微妙なテクスチャーの再現テクニックや光のいれ方のシミュレーションテクノロジーも進歩して、かなりのリアリティーはある。

[参考サイト]
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しかし、それでも、なにかもの足りない。そこで、次の段階としては模型を作る。きれいに作る必要はないし、リアルなテクスチャーが貼りつけてある必要もない。それでも、そこに三次元のナマの物体があるだけで、自分の身体を、そこに代人することができる。その物体の前の歩道を、歩きまわりながら、その建築の形態をチェックしている気にもなれる。建築の中にはいりこんで、空を見上げたり、窓から庭を眺めている気持ちにすらなれる。二次元のコンピューターグラフィックスの中には、どんなによく描けていても、逆に描けていれば描けているほど没入していけない。生の身体を代入できないのである。しかし、模型でもまだ不安がのこる。なにか、決定的なものがその模型には欠けている気がするのである。建築の形はチェックできるが、建築の「物質」は、模型ではチェックできないからである。同じ形態をしていても、それが石でできているのか、木でできているのかでは、まるで印象が異なる。木といっても、杉、松、ヒノキといろいろあるわけだし、縦ばり、横ばり、板の中、目地の中、板の端部がピンカド(シャープな九〇度のカド)か、面がとってある(カドを切り落として、鋭さをやわらげてある)かによって、その物質が人間に与える印象はまるで異なる。最も似ているのは料理だろう。石にしますか、木にしますかというのは、料理でいえば肉にしますか、野菜にしますかと聞く程度の、粗っぽい選択なのである。