アメリカで空調が生れ、日本のみ取り入れる

2011.11.18

十九世紀の段階にかぎって言うと、夏が暑いのに近代文明化したところは、実はアメリカと日本くらい。アメリカで空調が生れたのは当然で、そして、それを取り入れようというのも当時は日本だけ。その第一号が、赤坂離宮だった。なんにせよ初体験は失敗が多いが、ニューヨークで製造され日本で組み立てられた特製の一大最新空調システムが乱暴狼籍をつくしだのは、ヌレすぎが原因であった。室温を感知して自動的に調整するためのセンサーを工夫したのはいいけれど、その肝心のセンサーの細管の中で結露が起こり、濡れて詰ってしまい、システムは暴走。

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ニューヨークでは考えられない故障だった。夏が同じように高温のニューヨークと東京だけれども、一つ差がある。湿度がちがう。東京は湿気が多くてムシ暑い。高い湿度。ここに日本の空調のむずかしさの根っこが隠されている。地表の湿った大気が上昇し上空の冷気に触れて冷えると湿気は水滴(雨)となって降ることになるが、これと同じ現象が日本の室内では起こる。しっとり湿った空気が自分より低温の相手(ガラス、コンクリートなど)に触れると、水滴が生じ、付着する。この現象を結露といい、ずいぶん風雅な言い方だが内容は室内の雨降りにほかならない。赤坂離宮ではセンサーの細管の中で雨が降ったし、断熱性の悪いコンクリート住宅では押入れの布団の陰で雨が降る。目をつぶってイメージすると、天井裏や押入れの奥や床下の水道管の周囲に人知れず小さな雲が湧いて雨が降っている光景はなかなか面白いが、ネズミに頼んでそこだけ傘をさすわけにもゆかず、現実には困る。